向島にある「ドンツキ」に、貴重な長屋が昔の姿のまま、ひっそり残っていました。
まるで誰かに見つけてもらうその時を待って、約100年もの間じっと隠れていたかのように。

ドンツキをひたすら研究する「ドンツキ協会」なるものが墨田区にはあります。その協会の分類学で言うと、最もポピュラーな基本形状「直進型」のドンツキにあたります。表の道路からまっすぐに伸びたドンツキ。でも、一番奥にあるので、表からは見えないちょっと隠れ家的な物件です。

そんな場所で、これまで誰にも見つけられずにいたこの物件と出会ったのは、「古い物件があるからどうにかならないかな」そんな施工屋さんからの一言がきっかけでした。

 

今回ご紹介する物件は、風情ある路地に建つ貴重な長屋。
関東大震災直後の戦前に建てられたそうで、築年数は約100年近くになる。以前は住居として借りられていたそうですが、10年ほど空き家になったままでした。

東京スカイツリーまでは徒歩6分ほど。まさにその足元にポツンと取り残されていました。
ベランダからもスカイツリーの一部が見え、この建物とのギャップは非日常的です。

1階は、当時の面影を今も残した空間。この時代を知らない人でも不思議と懐かしさを感じます。
周りが建物で囲われているので、日差しは少ないですが、奥の庭にはある程度の光が入り、風通しも良い。以前は、キッチンやトイレ、お風呂場もありましたが、貸し出しやすいようにと撤去され、床も剥がしたほぼスケルトン状態です。

対照的に2階は、日差しがたっぷりと入る明るい室内。壁も白いのでそのままでも使えそうです。
トイレと水回りは2階にもあり、ベランダはありませんが収納も多いので、2階を住居にして1階を店舗という使い方も十分可能です。

 

オーナーの意向としては、自分も住む地域だからこそ「建物の良さを残しながら、この場所を使って人が循環しながら地域が盛り上がる」そんな使い方をしてもらいたいそう。

お話を伺う中で、抜群のアクセスと貴重な長屋の雰囲気は、住居だけに使うにはもったいない。住居兼の隠れ家的なカフェとしてやアトリエやギャラリーとしての使い方も面白いという話も出てきていました。

色々なアイデアが出る中で、こちらで手を入れて使い方を限定した貸し出し方をするのではなく、借り手がどういった使い方をしたいか、どういった活用の仕方をしてくれるのか、どう町と関わりを持って行ってくれるのか、といった話やプランをお聞きして、それに合わせた状態で貸しだそうということになり、今回はこの場所を使いたい方の企画を広く募集する「企画公募型」で募集します。

企画公募型の狙いとして、オーナーはこんな風に話されています。

「今回のプロジェクトがうまく進み、古い物件の価値創造の1つの手段として認知されれば、安易に建物を解体して廃材にしてしまうことを少なくできるのではないかと感じています。年長者世代が価値を感じていなかった古い物件が、実はとても価値のあるものだと認知されることになれば、なおさら安易に解体するのではなく再生の方向へ向かい、価値をもった歴史ある町並み保存に繋がるのではないかと思います。このプロジェクトが大成功して、そうした地元の古い物件の再生の代表的物件になれば嬉しいです。」

応募者の方に特に条件はありません。アイデアはあるけどどうやっていいか分からないといった方も、プロである施工屋さんが力になってくださいますので、相談しながら進めていくことも可能です。

長い間、この場所で有効活用してくれるような方を待っていたかのようなこの物件。
建物の良さを大事に残しながら使ってくれる方や100年という歴史もここから発信してくれる、そんな方からのとびっきりの企画、お待ちしています。

玄関の上の灯りもかわいいです。

正面前の小さな庭。

昔は井戸があったような名残も見受けられます。

1階。入り口側から。

1階。奥から。

1階。収納

元々キッチンがあった場所。

奥の中庭。
四方を建物に覆われていますが、日中は十分明るいです。

階段。下から。

階段。上から。
※奥にキッチンが見えますが、今は取り外してありません。

階段の途中には、ちょっとした物置。

2階の扉は障子になっています。
手すりも雰囲気抜群。

2階室内から見た入り口。

2階。北側。

2階。南側。

コチラ側の窓は今では珍しいタイプ。
レトロで可愛いです。

ベランダはありませんが、物干し竿は付けられるようになっています。

奥の中庭を見下ろす。
※左側の建物は、取り壊されて今はありません。

奥の中庭から見上げる。

2階。トイレ。

水回り。2階だけで生活も十分可能です。
※ただし、お風呂を付ける場合は、家賃プラス1万円

収納1

収納2

北側の窓からの景色。

少しだけ東京スカイツリーが見えています。

隣のお家のとの距離はこんな感じ。

路地を出るとすぐに東武スカイツリーラインが見えます。
高架下は現在整備中で、水辺の散歩コースになる予定で、ますます人の流れが多くなるエリアです。

※地図はエリアの目安としてお考えください。